変動金利と固定金利、どちらが正解?



(2020年6月27日時点の情報です。)

こんにちは、藤島住宅の大目(おおめ)です。

ちょうど1年ほど前に住宅ローンの変動金利と固定金利を比較したブログを書きました。

『住宅ローン、変動金利と固定金利どっちが良いの?』

 

現在、変動金利の基準金利は2.475%ですが、2009(平成21年)年から10年以上変わっていません。それどころか、銀行の競争から金利優遇が大きくなり、実行金利はどんどん下がって先日もお伝えしましたが、0.3%台の銀行も出てきました。

私が自宅を買った2003年(平成15年)の基準金利は2.375%です。途中、2%後半まで上がったこともありますが、前述の通り金利上昇以上に金利優遇が大きくなったので、実際の借入金利は上がっていませんでした。

変動金利は将来の金利上昇が不安・・・と言いながら、この18年ほどで見る限りは、結果論として変動で良かったとなります。

この間、「いざなみ景気」(2002年(平成14年)2月~2008年(平成20年)2月)や、それを上回るとする2012年(平成24年)2月の景気拡大局面と言われつつも実質成長率は下回るなど、金利上昇はしていません。

 

今まで上がらなかったから今後も上がらないとは言い切れず、20年・30年と長期間の返済なので「もし、金利が上がったら・・・」と不安に思われてしまうのも当然ですね。

 

皆さんは、各々いろんな事情がある中で住宅ローンの商品を決めているかとは思いますが、住宅ローン利用者全体では、変動金利を選ぶ方が多いのも事実です。

下のグラフは、住宅支援機構による調査をまとめたグラフです。

リンク⇒住宅支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」

2020年6月19日付の発表ですが、データは2019年9月までとなっています。

変動金利と固定金利、利用割合

2019年4月~9月に住宅ローンを利用した中では、変動金利を選んだ方が59%、固定期間選択型が約27%、全期間固定は、約14%となっています。

先日のブログでも書きましたが、各金融機関の競争が激しく変動金利は0.3%台の銀行があるので、これは絶対的な魅力ではあります。

バブルのころから見たら、お住まい購入するタイミングとしては、本当に夢のような金利ですね。

金利推移

 

金利タイプを選んだ理由としては、「金利が低い。」がダントツ1位となっています。

住宅ローンを選んだ理由

ただ、変動金利を選んだ方だけでなく、固定金利を選んだ方も金利の低さを1番の理由としています。

変動金利と比べれば金利は高くなりますが、過去の金利から見ると長期固定が1%前半で借りられるのは魅力ですからね。そして、やはり2番目には「金利上昇リスクへの不安」となっています。

面白いと思ったのは、3番目に「団体信用生命保険の充実」となります。

各銀行は、金利での競争が頭打ちになってきたので、がん保障、全疾病保障など団信の内容での競争となって来ました。

フラット35では、一般団信となってしまうので、固定金利を希望される方で団信の充実を考えるとフラット35ではなくて、銀行の住宅ローンでの長期固定となるのかと思います。

 

だからなのか、フラット35を選んだ方の理由では、1位が「金利上昇リスクへの不安」となっています。

フラット35を選んだ理由

ただし、こちらでも2番目には「金利が低い」となっています。3番目にある「フラット35Sを利用」と共に、当初5年ないし10年間の0.25%優遇は、返済額アップの不安には一つの安心材料です。

 

と、ここまでは、想像できる範疇かと思います。その上で、変動か固定か?と悩まれます。

「結局、どちらで借りれば良いの?」

抽象的な比較をしていてもイメージが掴めないかと思いますので、変動金利と固定金利について金利上昇を踏まえていくつかのシミュレーションを作成しました。

もちろん、このシミュレーション自体も仮定の話ではあるのですが、この数字を見てどう思われるかを、自分自身で感じてみてください。

 

《①変動金利》

借入額:4,000万円、35年返済、当初金利0.47%

5年目から毎年0.05%上昇
10年目から毎年0.1%上昇
15年目から毎年0.15%上昇
25年目から0.1%下落
30年目から維持
※返済額5年ごと見直し125%ルールあり

【金利変動グラフ】

変動金利シミュレーション

昨年の消費増税があり新型コロナによる経済の縮小は直ぐには戻らないだろうし、多少復活の兆しが見えたとしても、変動金利が連動している短期プライムレートの指標となる日本銀行が決定する政策金利は、景気動向を見ながらとなるので、ここ数年での金利上昇の可能性は低いとして、当初5年間は現状据え置きとしました。

その後、個人的には、こんなに金利上昇が続くことは無いかとは思いますが、6年目から25年目まで上昇ペースを変えながらも金利上昇が続けた後、さすがに、多少は下落してから現在のような横ばいが続いた場合のシミュレーションとしてみました。

 

【返済額・元金充当分変動グラフ】

変動金利シミュレーション

ほとんどの銀行では変動金利に『125%ルール』を設けています。年2回金利の見直しをするのですが、金利が上下したとしてもすぐに返済額が増減することはなく、5年間は返済額がそのまま維持されます。

仮に、金利が上昇した場合は返済額が変わらない代わりに、その返済額内訳(元金部分と利息部分)の内、利息部分が増えます。逆に、元金部分の割合が少なくなります。

グラフを見ていただくと、月々返済額は5年間一定なのに、元金部分は1年ごと少なくなっています。

そして、5年経った時に当初の返済予定よりも元金の返済が進んでいないので、6年目に再計算して当初の返済期間で完済できるように、月々の返済額を見直します

6年目の月々返済額増額により元金部分が増えますが、金利上昇に伴い元金部分の負担が少なくなっているのがわかるかと思います。

 

この6年目の月々の返済額見直し時に、どんなに金利が上がっていたとしても、新しい返済額が、今までの返済額より125%を超えることは無いとするルールです。

ちなみに、先日ご紹介した「ジャパンネット銀行」では、この125%ルールを設けていませんが、相当の金利上昇にならないと125%を超えることはありません。

 

《②固定金利(フラット35S)》

借入額:4,000万円、35年返済、

金利1.29%、当初10年間0.25%金利優遇

【金利変動グラフ】

フラット35Sシミュレーション

藤島住宅の新築分譲の場合は、フラット35SのAタイプなので当初10年間の金利優遇が受けられるので(Bタイプは、当初5年間の金利優遇)、1.04%スタートとなります。

【返済額・元金充当分変動グラフ】

フラット35Sシミュレーション

固定金利のグラフは、見ての通りわかりやすいかと思います。

 

 

次に、上記の2パターンのグラフを重ねてみます。

【返済額変動グラフ】

固定・変動返済額比較グラフ

20年目からの返済額が、固定金利より変動金利の方が高くなっています。

その後、変動金利では月々の返済額が、最大で13万円近くまで上がります。固定金利は、当然当初決められた通り約117,000円以上になることはありません。

 

そして、こちらもご覧ください。

変動と固定比較概要

月々の返済額では、15年目からは変動金利と固定金利がほぼ同額になり、20年目以降は変動金利がずっと高いのですが、総返済額ではほぼ同じです。

 

敢えて、この分水嶺の様なシミュレーションで比較しました。

最初に述べたように、このシミュレーションもあくまでも仮定ではあり、私は経済の専門知識もないので変動金利の場合の様な上昇があり得るのか?、または、全然あまいと見られるのか分かりません。

 

皆さんも同じかと思います。このシミュレーションを見てどの様に感じましたか?

 

変動金利は、0.47%からスタートして最大2.62%までと、2.15%上昇しています。

この金利は優遇後の金利なので、基準金利は約2%プラスすると、4.6%前後となり、バブルに突入していく頃の金利水準となります。

バブルが来ると思いますか?

景気は良くなって欲しいとは思いますが、私個人は、そこまでの回復は無いというか、物価上昇率2%目標は個人消費が伸びない中では難しいし、その状況で日銀は政策金利を上げづらく短期プライムレートも上がらないのではと思っているので変動金利を選択し、今も借り換えはしていません。

また、今回はフラット35SのAタイプと固定金利の中では好条件でのシミュレーションです。

同じフラット35SでもBタイプで優遇が5年間のみだったり、中古物件などフラット35のみで優遇が受けられない場合などは、変動金利の優位性が高くなります。

それは、返済開始当初は元本が多く残っており、その期間に高い金利で借りるのは利息負担の影響が大きくなってしまいます。

上記のシミュレーションでは、15年目で返済額がほぼ同額になりますが、金利が高めの固定金利では、この15年までの利息負担が利が、より大きくなってしまうので最終的には負担増となる可能性があります。

 

また、多くの方が繰り上げ返済をされますが、繰り上げ返済の額やタイミングによっても変わります。

(ちなみに、私は全然繰り上げ返済が進んでいません・・・)

 

さて、皆さんは、どの様に思われますか?

将来の絶対はわかりませんので。。。

 

ただし、今回の比較のように、結果的に総返済額が固定金利より少なくなったとしても、金利の上昇パターンによっては月々の返済額が固定金利より高くなるリスクがあるのは不安ですよね。

シミュレーション通りに金利が上がった場合に子供の進学時期や諸々の状況で、月の返済額が2万円近く増えるのは苦しいですからね。

そういう点では、固定金利の安心感は大きいですよね。

 

ただ、各銀行「10年固定」という商品をホームページ上でも強く推しています。

一定数の方が選ばれているようなのですが、私としてはピンっと来ません。

固定を選ぶということは、金利上昇リスクを感じているということだと思うのですが、私はここ数年では金利上昇の可能性は少ないと思っています。

もちろん、中長期的には可能性としてはあるかと思います。

10年固定を選んだ方は、10年後には変動と固定のどちらを選ぶのでしょうか?

いずれにしろ、その時点の基準金利から優遇金利を引いた金利が実行されますが、この「優遇金利」に差があることをご存じでしょうか?

埼玉りそな銀行の場合、通期優遇型で最大2.005%の優遇となりますが、「10年固定」は当初優遇型で、11年目の再選択時の優遇は、1.655%となります。

 

ところで、

今まであまり深く考えませんでしたが、変動金利の5年間返済額が変わらない・・・というのも善し悪しって感じです。

金利が上がったとしても、早めに細目に返済額も増えれば、最大の返済額はもう少し抑えられるのではと思ってしまいました。

まっ、ここは考えても仕方がない部分ですが!

 

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