住宅ローン、変動金利と固定金利どっちが良いの?
こんにちは、藤島住宅の大目(おおめ)です。
住宅ローンについて、お客様から良く聞かれることの一つに、
「変動金利と固定金利、どちらが良いですか?」があります。
住宅ローンの金利は、途中で変更することも出来るし、借り換えも可能ですが、やはり、一度決めたら長く続くので、最初に悩む方が多いですね。
実は、質問されるお客様も、明確な回答が無いことを承知で聞かれている方が多いと思います。
そして、既にご自身の中で7割くらい考えが決まっているのではとも思います。
「変動金利と固定金利は、どちらが良いか?」の質問の裏には、
「どちらがお得か?どちらが失敗しないか?」の確認が含まれていますが、
一言で言ってしまえば、
「将来の金利がどうなるかは、誰にも分かりません。」
で終わってしまいます。
それでは、身も蓋もないので、考え方の指標になればと思い簡単に書いてみます。
変動金利と固定金利は、損得で考えたら答えはありません。
大筋として、このまま低金利が続くと考える方は、変動金利を選択、金利が上昇すると考えれば固定金利を選択となります。
テレビなどでコメンテイターとして出ているFPや評論家の方は、私が見ている範囲では、ほとんどの方が結論として固定金利を勧めている様に感じています。
経済を勉強されると、このまま低金利がずーっと続くことは、統計的にも考え難いんでしょうか?!
でも、実際のところ、新規住宅ローンを借りられる方では、変動金利を選ぶ方が高い割合となっています。
一般の方たちにとっては、今まで長年にわたり続いた不景気、アベノミクスによる景気回復の兆し云々についてはここで論ずるのはやめるとして、景気は良くなって欲しいとは思いつつ、今後、それ程景気が良くなるとは思えない現実の生活を肌で感じている中では、少しでも月々の返済額が抑えられる変動金利を選びたくなるのだと思います。
また、これは価値観に依るものなのですが、金利上昇の可能性の方が低いとは思いつつ、ゼロではない以上、もしかすると大きく金利が上がることに強く不安を感じる場合に、月々の返済は増えても保険に入るつもりで固定金利を選択する方もいらっしゃいます。
⇦民間金融機関での住宅ローン金利の推移をまとめたグラフです。(クリックで拡大します。)
平成21年ころから変動金利の基準金利は、2.475%のまま変わらず来ています。
平成7年ころから見ても、途中上下はあるものの、2%台前半で推移しています。
ちなみに、これは、あくまでも基準金利であり、ここから金利優遇が適用されて実際の住宅ローン実行金利が決まります。
金利優遇は、個々審査によって変わりますので、お勤め先・ご年収・自己資金の額などによって変わる場合があります。
最近人気のネットバンクでは、個別の金利優遇を無くし、審査の承認が下りたら一律の金利が適用される商品などもあります。
私自身は、変動金利で借りています。
マンションを購入したのは、不動産業界へ転職する直前の平成15年。川口信用金庫で3年固定の金利1.2%(おそらく・・)で借りました。
今お住い購入する方にとっては想像もつかないかもしれませんが、当時は全期間の金利優遇というものがありませんでした。
上のグラフを見て頂く通り、当時は、普通の変動金利より特約の3年固定(都市銀行などでは2年固定)の方が金利が低く、且つ、当初特約期間のみ1.0%金利優遇という商品でした。
ですので、ただの変動金利を選ぶよりかは固定期間特約付きでの変動金利を選ぶのが当たり前でした。
全期間固定金利は3%中盤位??だったと思いますが、当時の私にとっては、年収に対しての融資可能額上限に近い状況での借入だったので、3年固定金利と全期間固定金利での月々の返済額を比較した場合の差額が大きく、全期間固定金利での月々返済額は無理でしたので、何も迷わず3年固定特約付き変動金利に決めました。
参考までに、借入額3,000万円・35年月々均等返済では、
金利1.2%では、月々87,511円
金利3.5%では、月々123,988円
差額36,477円
将来金利が上がるかもしれないと言われても、その不安は簡単に飛んでしまうぐらいの差額です。
本来であれば、収入に余裕がない場合程、将来の金利上昇や何かしらの突発的支出のリスクを考えて、住宅ローンの金利を一定にするのが理想なのかなとは思います。
そして、その返済額に合わせて予算を決めるのが安全な資金計画だとは思います。
収入に余裕がある人は、多少金利が上がったところで、それ程家計への影響は少なくてすむでしょうから。。。
でも、ほとんどの方が、予算よりも高めの条件を希望されます。
そこから、何を我慢して折り合いをつけるか悩みます。
ところで、私の当初の3年固定の間に、世の中に『全期間優遇』というものが生まれたのです!
私は、前述の通り当初3年間のみの優遇なので、4年目からは変動金利基準金利が実際の適用金利になってしまいます。
正確な当時の基準金利は忘れてしまいましたが、三井住友銀行のHPには、当時2.375%とあります。
信金の基準金利は、都市銀行より少し高めに設定してあることが多いですが、
仮に、先程の計算例で、4年目に金利が2.375%になると、月々の返済額は、103,278円となります。
そうなることは承知で借りたとは言え、一気に倍近くの金利に上がる現実はショックです。
そこで、3年修了間近に、優遇の延長を希望(してくれないと、他行へ借り換えしちゃうよ!)を打診したのですが、契約ごとなので出来ませんとの回答。
でもって、埼玉りそな銀行へ借り換えを行いました。
でもでも・・・、当時の金利優遇は1.0%が最大だったのです。
今は、諸々条件にもよりますが、新規借り入れですと、金利優遇2.005%で実行金利0.47%も可能です!
借り換えの場合は、更に低金利(0.429%)での借り入れが可能です。
これまた、将来のリスク不安が飛んでしまうくらいの低金利です!
そして、固定金利ついては、現在はフラット35を利用する方が多いかと思います。
⇦フラット35の金利推移グラフです。(クリックで拡大します。)
見ての通り、固定金利も低くなりましたよね。
2016年には、1%以下の金利で35年固定でしたから、
昔をご存知の方にとっては、有り得ない金利!って感じでした。
今月のフラット35Sの金利は、期間21年以上、契約額の9割以下の借入の場合、1.27%です!
私の変動金利より低いですよ。
しかも、借入当初5年~10年間は、0.25%の優遇で、1.02%からのスタートです。
頭金が2割ある方や、借入期間が20年以下の場合は、更に低金利となります。
これは、変動金利の時とは逆で、「この金利で将来の金利上昇リスクを無くせるなら、迷わず固定でしょ!」って考え方もありますよね。
ここで、変動金利と固定金利での返済比較をしてみましょう。
【借入額3,500万円、35年返済、ボーナス払い無し】
①変動金利0.457%の場合
月々返済額 90,192円
総返済額 37,880,640円
②フラット35S Aタイプ 借入比率9割以下の場合
当初10年まで 金利1.02% 月々返済額 99,127円
11年目以降 金利1.27% 月々返済額 102,129円
総返済額 42,533,940円
繰り上げ返済や金利の変動を考慮しない場合、総返済額では固定金利の方が約465万円多くなります。
これだけ多く払うことになるかもしれないが、金利上昇リスクを回避するためには妥当な負担、もったいない気もするが仕方がない、と思うなら固定金利。
イヤ~車買えちゃう!逆にこれ自体がリスクでしょ!なんて感覚だと変動金利を選択するのかなと思います。
変動金利を選択する方も、将来的には金利は上がるのではと考えているかと思います。
ただ、上のグラフの様にバブル時代ほどの高金利にはならないだろうし、国内だけでなく世界的に見ると、日本が良くても外国からの影響で日本の景気も後退するなど、今後直ぐに金利が上がると思えない。
または、中期的には金利が上がっても、諸要因によって上がり続けることも無く、結局落ち着くのでは。。。
少しでも早い段階で、出来るだけ繰り上げ返済をして、元金を減らしておけば、金利が上がった時の返済額上昇への影響を抑えることが出来るとも考えられます。
ただし、繰り上げ返済も、なかなか何度も出来るものではないんですよね。
私も、1回しかできていません。
各ご家庭での考え方によりますが、私と家の奥さんは、子供の教育費の優先順位が高いので、繰り上げ返済は後回しとなっています。
金利の推移のグラフにもありますが、変動金利が平成18年からいったん上昇しています。
それまで、都市銀行での基準金利は2.375%でしたが、平成18年(2006年)3月に日本銀行が、量的緩和政策を解除し、同年7月にゼロ金利を解除したのですが、10月に住宅ローン変動金利の基準金利が2.625%になり、翌平成19年(2007年)10月には2.875%まで上がっています。
変動金利で借りておいて、金利が上がりそうになったら固定金利に切り替えるとの考えもありますが、一旦ローンが始まってしまうと、そんなに常に金利のことなど気にしていられないのが実情ではないでしょうか。
しかも、固定金利は、「新発10年物国債利回り」に連動します。投資家の予想や期待で変動する部分があるのですが、現在は日銀による「異次元の金融緩和」により国債を高値で買い続けているので、固定金利にも日銀の動向が中止されている部分もあるようです。
そこを読み切って変動金利から固定金利へ借り換えるのは、かなり専門的知識が必要かもしれません。
変動金利が上がってきたときには、既に固定金利も上がっている可能性があります。
となると、予想以上に月々の返済額も増えてしまう・・・もう少し、このまま様子を見ようか。。。なんてなるかもしれません。
私は、経済の専門家でもないので良くは分かりませんが、景気の動向や国・日銀の施策によって金利は変動します。
ステルステ―パリングと言って、既に日本銀行では、実質的に量的緩和の縮小を行っているとも言われています。
という事で、「変動金利と固定金利、どっちが良いか?」の問題には、何の結論も出ていませんが・・・
どうしてもどちらかに決めかねる場合は、ミックスローンも可能です。
変動金利と固定金利の比率を選んで借入可能です。
月々の返済額を出来るだけ上げたくなければ、固定金利の比率を低くするなど、それぞれの考え方に合わせて比率を変えられます。
フラット35との併用も可能です。
各詳細までは、ここでは書ききれませんので、いつでもお気軽にお問い合わせください。